のっけからお恥ずかしい話ですが、私、明治神宮及び神宮林がわずか100年余り前に人の手によって造られたものだということを知りませんでした。
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この本を読んで知りました。
「落陽」 朝井まかて
内容は
「明治神宮造営という国家的プロジェクトを通して明治時代と明治天皇に迫る」という小説です。
朝井まかての本だから読んでみようかな、と何気なく手に取った本ですが、先が知りたくてどんどん読んでしまいました。
朝井まかての小説は長編が多くて、さらに対象を深く研究して書かれているので難解なところがあり、すらすらとは読めないんです。
でもいつの間にか引き込まれてしまう、これが作家の力なんでしょうね。
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私の実家は伊勢神宮まで歩いてほんの数分というところにあって、伊勢神宮には小さい頃から母と一緒にお参りしたり遊びに(!)行ったりして親しんできました。
そんな伊勢神宮と明治神宮は全く成り立ちが違うのだということをこの本を読んで初めて知って驚きました。
明治神宮と神宮林は最近人が造った神宮であり人工林だったんですね。(たぶん皆さんはご存じのことと思います)
今回書きたいのは神宮林についてです。
明治神宮林の造営にあたっては、、、、
「樹木の生長を勘案して、150年という時をかけて天然林相の実現を目指す」
という壮大な計画だったそうです。
150年後にやっと出来上がる神宮林、気の長い話ですね。サクラダファミリアみたい。
通常神社の杜は杉・ヒノキなどの針葉樹林がよい。(伊勢神宮の神宮杉は有名ですね)しかし東京は暖帯で針葉樹はうまく育たない、また東京は水の得にくい武蔵野台地(関東ローム層)に築かれた都市で水の必要な針葉樹は不適、などの理由で常緑広葉樹の杜になったということです。
東京のような大都会に人工で森を造るとなるとさぞかし沢山の木々が必要でしょう。それらの木々は植木屋から木を買って植えるのだと思ったら、国中に献木を呼びかけて集めたそうです。
それに応えて全国から集まった何万本もの木々を数年かけて手入れをしてから移植したといいます。大変な苦労だったでしょうね。
さらにその作業は全国の青年団が神宮林の造営現場に参集して奉仕活動をしたといいます。
150年かけて天然林相にしようという計画、
1915の地鎮祭から数えると2024年の現在は109年が経ちました。まだもう少しかかりそうですね。
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去年、私は初めて明治神宮へ行ったのですがあまり印象に残らず、観光地を見た、という意識だけでした。写真も撮っていません。
(↑パンフレットだけ残ってました)
行く前にこの小説を読んでいたら明治神宮をもっと興味深く見ることができたのに、と残念です。
またこの本を読んで明治天皇という方のことを殆ど知らないことに気づきました。
小説の中の明治天皇でなく実際にはどういう方だったのか、本を借りてきました。読んでみます。